新帝王誕生か
ボロボロの帝王タイガー・ウッズが欠場するUSオープンで世界中のゴルフファンがアッと驚いた。北アイルランド出身の弱冠22歳ローリー・マキロイがタイガー・ウッズの12アンダー優勝記録を更新して16アンダーで優勝したのだ。12アンダーですら当分破られることはないだろうと言われていたのが、16アンダーとは誰もが恐れ入った。全米プロやUSオープンは毎年コースレート委員や運営委員によって最高難度に設定されるから、出場選手は誰もがパープレーを基準にコースマネジメントしている。だから一番ビックリしたのはコース設定した委員たちだったろう。
北アイルランドが何処にあるか、すぐ説明できる人はそうたくさんいないかもしれない。まして北アルランドの国旗を見て英国の一部だと分かる人はもっと少ないはずだ。英国国旗といえば赤青白の米印みたいなユニオンジャックを思い出すが、ゴルフトーナメントにユニオンジャックの旗はなく、なぜか王国旗を掲げて出場する。ゴルフ発祥地スコットランドの国旗は青地に白のバツ十字、イングランドの国旗は白地に赤の十字架、北アイルランドは赤の十字架に王冠、ウェールズは白緑地に赤い竜。四つ足してユニオンジャックになるはずが、なぜか合わせるとウェールズが消えてしまう。いろいろ事情はあるようだ。
宗教改革以来、アイルランドはカソリックとプロテスタントの抗争が絶えないようだが、英国領となった北アイルランドは本国アイルランドと英国の板ばさみとなって確執や労苦が絶えないのではないか。私たちには分からないが思想や地勢上の問題は話し合って解決する問題ではない。昨年の覇者マクダウェルも今回のマキロイも言葉で表現できない思い十字架を背負って出場していたに違いない。その重荷をバネに爆発したとするなら、私たちは彼らを心から尊敬し賞賛するだろう。
私たちも今、大震災津波に放射能被爆という重荷を背負っている。聖書に「試練は忍耐を生み、忍耐は練られた品性を生み、品性は希望に変えられる」とあるように、北アイルランドの人々が十字架の重荷からマクダウェルやマキロイという希望を見出したなら、私たちも天災の重荷から石川遼や松山英樹という希望を見出したいものだ。二人が国際舞台の希望の星になるためには、もっともっと世界を体験し勉強しなければならない。ゴルフの競技年齢を考えれば未だ20年以上もある。七難八苦を天に願って、練られた品性を生むのが先決だ。日本よりうんと小国の北アイルランド、韓国、南アフリカを思えば確率的には断然有利なはずなのだから。
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