日本の実力

今週から始った世界マッチプレー選手権に日本のトップスリーが挑戦して、三人とも初日一回戦で敗退してしまった。トップスリーとは池田勇太、石川遼、藤田寛之を指す。先週リビエラで開催された「ノーザントラスト」でも池田勇太一人がかろうじて予選通過したものの、石川遼、今田竜二の二人は予選落ちしている。この試合は日本人オーナーのリビエラC.C.で開催されたが、日本人選手三人が予選二日間を同じ組で回るという世にも珍しい光景が観られた。普通なら国際試合で同じ国の選手だけで競技することはありえないが、なぜこういうことになったのか理解に苦しむ。大相撲で八百長試合がとり沙汰されているときだけに、日本選手が勝っても負けても後味の悪い思いが残るはずだ。

 

日本のゴルフ界はもう20年以上も鎖国体制をとっているから、外国と大きなカルチャーギャップが生まれてしまった。何も知らずに日本に生まれ育った若者たちは、祖国の誇りを日の丸に託して武者震いしても、想いと現実が余りにも違いすぎて悲劇を繰り返すことになる。先週封切になった『太平洋の奇跡』を観ても、若き日本兵の祖国を想う愛国心や忠誠心と、権力の中枢にある指導者たちとの間にあるギャップは、悲哀を超えて歴史の悲劇としか表現のしようがない。指導者の無知と無責任を全て若者の肩に背負わせ、大和魂だけで突撃させても玉砕の悲劇を繰り返すだけである。日本兵が如何に勇猛果敢であったかは歴史の事実が証明している。権力の中枢にグローバルな視野があれば、日本の若者はもっともっと活躍するに違いない。

 

それに引き換え韓国人プロは国際舞台で目覚しい活躍をしているが、彼らの祖国は国家存亡の危機にあって、国境に異変が起これば祖国に舞い戻り、クラブを捨てて銃を取るか、家族を連れて国外逃亡を図らなければならない。今を失えば明日はないかもしれないという切実な思いが、試合に取り組む姿勢やプレーの姿に表れている。逆境に育った彼らの強さの秘密は何か是非とも知りたいところだが、聞くところによれば彼らの大多数はクリスチャンだそうだ。祖国愛や自己実現という偏狭な価値感ではなく、人類愛や平和実現という遠大な価値感に支配されているとすれば、グローバル化する現代を悠然と生きる姿勢は当然とも思える。

 

日本の若きサムライ達に伝えたい。軽薄な商業娯楽主義に毒されたり、偏狭な鎖国体制の殻に閉じこもることなく、勇猛果敢に世界に羽ばたいて欲しい。
ただし、大和魂や武士道精神で武装することを忘れてはならない。そうすれば、やがて日本の若サムライ達が世界各地で勝利の勝鬨を挙げることは目に見える。

 

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