新世代ゴルフが始まった

Time and tide wait for no man.-歳月人を待たず-
受験時代18歳の頃に覚えた英語が突如として脳裏に甦ってきた。バブル崩壊から18年、奇しくも18歳の少年が日本のゴルフを変えようとしている。低迷する日本のゴルフ界を変革することも再生することもできない私たちを憐れんで、天は待ちきれずに若者を与えられた。若者は世界に飛び出して、直接肌で世界のゴルフを感じ取っているが、新世代が感じ取った世界のゴルフとはどのようなものか。ゴルフの理想を求めて変革しイノベーションを起こしてきたゴルフユートピアとはどんな世界か。

 

「ユートピア」は16世紀初頭イギリス人トーマスモアによって書かれたおとぎの国の名だが、モアは権力や権威、身分や財産に支配されない清貧にして幸福な理想国家の姿を夢見た学者であり政治家だった。モアの目にヨーロッパ諸国は理想と程遠く、モア自身も権力を恐れてラテン語でこの本を書いたくらいだ。この頃ゴルフは国王や貴族達によって盛んに行なわれていたようだが、恐らくゴルフの世界もユートピアとは隔絶していたに違いない。モアがゴルフをしたかどうか知らないが、モアがゴルフユートピアを描いていたら国王の逆鱗に触れることもなく、ギロチンにかけられずに済んだかもしれない。

 

あれから500年の歳月が経ったゴルフの世界は男も女も、子供も年寄も、金持も貧乏も、大臣も失業者もゴルフをこころから楽しんでいる。ゴルフをするのに身分も服装も所持金も問われないから、大臣が普段着でゴルフ場に出かけて失業者や年金生活者とゴルフをしながら、最近の社会情勢を取材すればよいではないか。誰も大臣が接待ゴルフをしていると思わないし、フォーカスされる心配もない。ゴルファーはみな紳士だから礼儀もわきまえているし嘘もつかない。大臣が心配することは、自分自身が本当のゴルファーか彼らに観察されていることだ。ルールやスコアをごまかし、エチケットもわきまえないゴルファーなら地位身分に関係なく人間として失格の烙印が押される。トーマスモアが生きていたら「これこそ私が描いたユートピアだ!」と叫んだに違いない。
日本を飛び出した若者は、ゴルフユートピアを見てきただろうか。ゴルフマインドやジェントルマンシップを学んできただろうか。天は若者によって本当に日本のゴルフを変えてくださるだろうか。

 

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