ゴルフの制度改革

2012年、今年からJGA(日本ゴルフ協会)がハンディキャップ改革に乗り出すことになった。これは改革と言う言葉を使わなければならないほど大変なことで、協会だけでなく全ゴルフ場、全ゴルファーが一体となって意識改革しなければならないほど重大なことなのだ。日本のゴルフが欧米豪州から30年以上も遅れたといわれる最大要因のひとつに、ハンディキャップ制度の遅れがある。つまり、本来ハンディキャップは全てのゴルファーに公開された制度でなければならなかったものが、日本では協会の利権として聖域化され一般ゴルファーとは無縁の存在となっていたことが原因である。

 

日本人が外国でゴルフをするとき、フロントでハンディキャップ証明の提示を求められて面食らうことが多い。日本人ゴルファーの95%以上はハンディキャップを持っていないし、大半の人がハンデキィャップの意味すら分からない。私が高校生の頃「自動車免許がとりたい」と言ったら、親は「気でも狂ったか」と言う顔をしたが、クルマが運転できる証明にどうしても免許が必要だった。免許欲しさに当時建設中だった環七道路で運転の練習をしていたが、いま聞けば驚く話に違いない。日本が先進国としてクルマ社会を実現するには免許制度を確立させなければならなかったのである。世界は既に14年前、クルマの免許制度のように世界共通ハンディキャップ制度を確立して、ゴルファーである証明にハンディキャップを利用するようになった。

 

ゴルフは世界的に大衆化するに連れてクラブも安くなり高性能化した。今では中国で大量生産された高性能クラブセットが2,3回のゴルフ代で買える時代だ。私の環七練習よろしく、エチケットルールも分からないままインターネット予約を取り、コースに試し打ちに出掛ける若者が増えてきた。クルマは運転免許がなくても簡単に200キロ以上のスピードが出る。ゴルフもハンディキャップがなくても簡単に200メートル以上も飛ばせる。いずれも危険な点で似ている。

 

かつては日本のゴルフ場もプレーをするのにハンディキャップが必要だった。
フロントのサイン帳に「ハンディキャップ記入欄」があったし、スタート表には「各組ハンディキャップ合計90以内でお願いします」と書いてあった。若かった頃の私はこの制度に疑問を感じていた。ハンディキャップを取るには高価な会員権を買い、クラブ競技に出なければならなかったからである。練習場やパブリックコースのゴルファーにはハンディキャップ取得の道がなかったから、私はUSGAハンディキャップマニュアルを読み、スコア台帳を作って、そろばんや手計算でクラブサークルコンペのハンディキャップを査定していた。ハンディキャップにはクルマの免許制度のような高いモチベーション効果があって、ゴルファーに自覚と責任を持たせることができる。クルマと同様ゴルファーにもハンディキャップという国際ライセンス制度が必要な時代になったが、これからは世界の人たちに、日本人ゴルファーを『エチケットルールも知らずハンディキャップもない田舎ザムライ』とは絶対に言わせたくないものだ。

 

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