ゴルフ再生への道 1-11 自然保護と環境開発
ゴルフ場建設盛んな頃、地方の農協や森林組合から度々ゴルフ場建設誘致の相談を受けた。減反政策や農地法によって自由な土地利用を制限された農協は段々と荒廃し過疎化していく農村の対策に頭を痛めていたし、需要減少と安価な輸入木材に圧迫されて森林を維持することすらできなくなった森林組合は自然保護や環境保全に頭を痛めていた。無責任なマスコミ報道に焚き付けられた世論や有識者は「のどかな田園やゆたかな森林は日本の宝だ!」と声高に叫ぶが田園や森林を維持するには多くの人手と資金を必要とすることを全然理解していない。ゴルフ場誘致は人手と資金を得る一石二鳥の策というのだ。
ところが自然保護団体や市民活動家は「ゴルフ場開発こそ自然破壊の元凶!」と声高に叫びプラカードや立看板を林立させて建設に反対する。確かに成田空港に着陸するとき見る房総半島は悪ガキが悪戯した掻き傷のようにゴルフ場が乱立し誰が見ても自然破壊に見える。ところが実際は「自然放置こそ自然破壊の元凶!」なのだ。アメリカ上空からパームスプリングスやラスベガスに着陸するとき、サソリとガラガラ蛇しか生きられない荒涼たる地に忽然と緑豊かな巨大オアシスが出現する。無数のゴルフ場周辺に美しい街が整然と造られ、人の手によって豊かな生活環境が開発されているのに驚く。自然を放置すれば人を寄せ付けぬ荒涼地となり、人が利用すれば豊かな自然を取り戻すことが一目瞭然に理解できる。
2015年問題に倒産ゴルフ場を放置したらどうなるかという問題がある。森林や田畑を開発してゴルフ場を建設したが、もう元の森林や田畑には戻らないし放置すれば間違いなく廃墟となり公害問題に発展する。新たにゴルフ場を建設するには10年の歳月と30億の資金が必要なことを考えれば倒産ゴルフ場を放置する手はない。ゴルフ場周辺を再開発してシルバータウンを建設する手がある。元々カントリークラブは田舎に造られた別天地を意味するわけだから、ゴルフ場を中心にコミュニティクラブ、福祉施設、住宅、酪農場、果樹園、民芸工場などを造って第三の人生を豊かに過ごすゴルフユートピアを建設する策だ。
米国では1ゴルフ場(18ホール)当たり400世帯が標準となっているが、高齢者400世帯は人口にして600人位だろうか。地方分権や地方活性化が叫ばれているいま、都市高齢者が豊富な個人資産や年金収入、高度な知見や技術を携えて地方に集団移住することは革命に値する出来事になるだろう。全国2400コースの三分の一、800コースがシルバータウンに変わるならば480,000人が地方分散することになる。シルバータウンは電気・水道・食料・医療の自給体制を備えるだけではなく余剰生産を積極的に都市や外国へ輸出する独立経済自治区でもある。IT武装したシルバータウンは知的財産収入や配当収益も稼ぐだろう。