2013日本女子オープンゴルフ

プロアマ含めて女性ゴルファー日本一を決める「日本女子オープン」が相模原カントリークラブで開催され、宮里美香選手が二度目の日本一に輝いた。この試合に出場するには数々のハードルがあって基準を超えられるものは僅かしかいない。シード権を持っているのは昨年度15位以内。ジュニア・学生・ミッドアマ選手権優勝者。賞金ランキング30位以内。過去5年プロ選手権優勝者。昨年から今年9月までのLPGA競技優勝者。ワールドランキング20位以内。それに予選通過者となっていて内訳はアマチュア24名、日本人プロ65名、外国人プロ19名の合計108名が出場した。

 

シード権のない人は4ブロックで開催される予選を通過しなければならないが、この予選に出場するにもハンディキャップ・インデックス7.4以内。学生連盟推薦60名のほかにジュニア選手権10位以内。学生選手権20位以内。日本・国際ツアープロライセンス所有者。プロテスト予選通過者などとなっており予選段階から既にハードルは高い。これらの条件を満たした選手487名が予選競技を行い、そのうち僅か上位15名が日本女子オープンに出場できた。

 

日本女子オープンを観ながら「わたしも東京オリンピック目指して頑張ろう」と思う子がたくさん生まれてくれば、それは素晴しいことだ。しかし娘の夢を後押しするお父さんは数千万円掛けても99%夢破れることを覚悟し、夢破れたときの備えもしておかなければならない。それこそ本当の親心というもので、夢が実現しなくても親子で夢を共有し、娘の成長を見つめつつ共に素晴しい人生を歩めたことを感謝しなければならない。家庭崩壊や親子断絶が問題になっている時代に、親子が結束し家族が一丸となって夢を追いかけるなんて、それこそ「夢のような話」ではないか。

 

商業スポーツの盛んな現代では成功すれば10代でも芸能タレントとして名声と金が同時に手に入る。「親孝行したかった」といってカップと賞金を手に涙ぐむ若者の姿をみるとコチラも涙ぐんでしまいそうだが、大人は1%の世界だけを見て感動していてはいけない。99%はどんな思いをしているのか、どんな生活をしているのか、どんな人生を歩むのか。先進国とか民主社会では全ての人に1%の夢を追うチャンスが与えられ、99%の人にやり直しと復活のチャンスが与えられなくてはならない。東京オリンピックの裏舞台には、夢を支える頑強な先進制度基盤やセーフティネットが用意されていないと「後の祭り」を嘆く大量のオリンピック難民が生まれるかもしれないからだ。